スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | --/--/-- --:--

食欲詩集 【ポテト】

神秘なる湖のほとりに立ち
底の底まで覗き込もうとして
見ていたのは自分の影か

眼前の事物の幻影か現物かも見分けつかぬそのとき
現れしは湖の女神

「この腐れた斧、鬱屈した斧、ねじくれた斧。お前の落とした人生はどれじゃ?」

「Oh no! 私はどれも落としておりませぬ」

「では、挫折し羽根をもがれた斧、絶望と悪意の斧、二度と立ち上がれない斧……」

「私はそもそもこの湖に斧を落としておりません」

恐ろしい神の沈黙

その永遠のような一瞬ののち

「では、お客様」
女神は言った
「つけあわせにポテトはいかがでしょうか?」

おさらば!
神秘なる湖に別れを告げた

オレの人生にポテトのつけあわせはいらねえよ






スポンサーサイト
| コメント(2) | トラックバック(0) | 2010/12/24 15:05

詩 【天ぷらそば】






【天ぷらそば】


かきあげは天ぷらであるが
天ぷらは必ずしもかきあげではない

かきあげの入ったそばは天ぷらそばだ

という命題は、この立ち食いそばという磁場における秘かな合意である。

そのささやかな合意に基づき
我々は立ち食いそばの客となる

オヤジ我々は合意した! とは口に出さず
ただ食券を出し、そば、とか、うどん、とか麺の種別をぶっきらぼうにいう
それだけで十分だ
オヤジはすべてを知っている

立ち食いそば、とここは呼ばれ
あるいは看板にもそう書いてあるだろう
いかにも我々はここで最も二本足で立っているのだ
いちばん立っているのだ

肩と肩が当たりそうなほどに混んではいるが
ラッシュアワーの電車の中のように
我々は「立たされて」はいない
自分の二本足で立っているのだ
麺を茹でる湯気と熱気に包まれて
我々は少しもギスギスしていない

すばやくそばを茹でて供する
何万回も繰り返された正確な手際
待つほどもなく熱い天ぷらそばは来る

箸の先でかきあげを汁に沈めよう
深く深く何度でも沈めよう
汁が沁みるとかきあげは箸先でほぐれる
それで一口
さらに沈める
あの柔らかくぐずぐずとほぐれた
ポヨポヨとした何か
もはや天ぷらとは言いがたいほどのポヨ
それが好きなのだ

汁の上のポヨ

たぬきではダメなのだ

ポヨを噛んで
中から
干しえび、長ネギ、いかの歯触りを探し当てたとき
心の中で小さく
「Oh!」
と驚きの声をあげたいのだ

そのような喜びのために
我々はここで二本足で立っているのだ


(ミクシィより転載。話の途中だけど、詩載せないとね。気に入ったら詩集を買ってください)
| コメント(0) | トラックバック(0) | 2010/12/15 10:29
 | HOME | 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。